1.目的
バイオマスの熱的エネルギー利用(熱分解、ガス化、燃焼など)の為には、使用サンプルの示差熱分析による評価が有効です。本研究室では、従来より多くのバイオマス、石炭などを対象に実験検討を行い、蓄積データもかなりの量になっています。
2.使用装置
(株)リガク製のThermo Plus TG 8120を用います。計測雰囲気は、供給ボンベガス(窒素、空気、CO2など)により調整可能です。
3.結果例
目的により操作条件(雰囲気、昇降温度プロファイル)を変化させて、データを採取します。以下に結果の一例を示します。
3.1 バイオマスの基本的熱特性(水分、揮発分、固定炭素、灰分)
定速昇温(常温〜1100℃)による。例;葦(空気、窒素、CO2各雰囲気)
3.2 低温での揮発分の放出特性
空気雰囲気で、昇温、所定温度保持による。例;稲わら
3.3 固定炭素のガス化特性(CO2雰囲気)
CO2雰囲気で昇温、所定温度保持による。得られた重量減曲線より解析。例;各バイオマスの固定炭素
3.4 固定炭素の燃焼速度の評価
空気或いは酸素雰囲気で昇温、所定温度保持による。得られた重量減曲線より解析。例;各バイオマスの固定炭素(空気雰囲気)
3.5 含有灰分の蒸発、溶融特性(図6)
階段状の昇温操作による。例;葦の低温燃焼灰(空気雰囲気)
3.6 灰中クリストバライトの生成の確認と簡易定量
200℃〜300℃の吸熱ピークの評価による。 例;籾がらの燃焼灰(空気雰囲気)
3.7 その他
生成チャー、生成タールなどの示差熱分析
4. まとめ
バイオマス関連の装置設計には、サンプルの事前評価が不可欠であり、再現性良好、かつサンプル量が少量で計測可能な示差熱分析は極めて有用な手段です。計測、解析法などご相談頂ければ対応致します。
連絡先 長崎総合科学大学新技術創成研究所
特命教授 村上信明
メール MURAKAMI_Nobuaki@Nias.ac.jp
なお本研究室の実施内容・実績は次のとおりです。
1.バイオマスの水蒸気ガス化反応(ガス化速度、生成ガス組成)の研究
2.バイオマスの含有灰の熱的挙動(揮発・溶融特性)の研究
3.バイオマスガス化時の微量成分(NH3,HCN,H2Sなど)生成挙動の研究
4.バイオマスからのメタノール製造技術の基礎研究
5.バイオデイーゼル油(BDF)の製造法の基礎研究
6.小規模バイオマス発電システムのFS
7.エネルギー・環境技術の現状と将来動向の考究
など
1,2の内容例の詳細を下記から照会できます。
各種バイオマスのガス化速度の計測
バイオマス含有灰分の熱挙動・溶融特性
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