●研究背景および目的
腐食作用によって鋼材の疲労特性は一般的に低下する。このため船舶や橋など海水腐食環境で使用される構造物の安全性を保障するためには,海水腐食疲労強度特性を明らかにする必要がある。
●試験方法
海水環境下で疲労試験を行うため,試験片に取り付けた腐食液槽を通って人工海水(ASTM D1141)が循環するように構築した図に示す試験システムを用いる。
●海水腐食疲労特性
図2の破断試験片にみられるように海水中では大気中に比べて著しく酸化する。この酸化によって鋼板表面に腐食ピットが生成されるが,これが応力集中源となって疲労強度を低下させる。図3に大気中と海水中の疲労強度を比較したが,海水腐食によって疲労強度が大きく低下する結果が得られている。