第6講(2)メタノールとエタノール


 水素とならんで、有力な2次エネルギーであるアルコールについての一般的解説です。2008年当時は、バイオマスに対する期待が大きく、ガソリン代替の輸送用燃料として発酵法でつくるバイオエタノールはその代表格でした。「バイオマス」といえばバイオエタノールのことと解される向きもあったようです。バイオエタノールは、現在も米国、ブラジルなどで生産された年間10,000万klに近い量のエタノールが燃料用に利用されており、又木材など非食性のセルロースからの製造法も引き続き研究開発がなされています。(2020年6月)

関連の新著です。

雑説 技術者の脱炭素社会」 梓書院、2021年12月)

2023年11月、通常現代文の解説(50頁)を加え、改訂しました

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「現在の脱炭素社会へ向けての活動が、相応の覚悟と確かな目論」によってなされているとすれば、我々は新たな文明への分水嶺の目撃者たる運命を担っていることになる。もしその覚悟と目論見なくして今の状況があるとすれば・・」的なことを、古色蒼然の文語体で至極真面目に書いた本(笑)

目次、一部例(本文は文語体ですが、じきに読み慣れるかと思います)はこちらをご参照ください。 

雑説 技術者の脱炭素社会

内容について自分で解説しました(2023.3,これは通常現代文です)

もう一つの新著です(2022年8月)。

「企業の実験・大学の実験 反応工学実験の作法」 https://onl.bz/YeZ3SC  (アマゾン)

(補説「ハーバー・ボッシュ法アンモニア合成と現代」の部分を記事にしました→ こちら )

 (「昨日今日いつかくる明日―読み切り「エネルギー・環境」―」(2008年刊)より抜粋)

エネルギー媒体としてのアルコール   

 アルコールもまた、水素と並んで代表的な二次エネルギーであり、将来の有力なエネルギー媒体の候補である。具体的には、天然ガス、石炭、バイオマスなどを原料にし得る「メタノール」と、サトウキビやトウモロコシからつくられる「エタノール」などである。一般にバイオマスからのアルコールという場合、メタノールが想定されている場合と、エタノールを意味する場合の双方があり得るので留意が必要である。

 周知の通り、最近、エタノールをガソリンと混合して自動車用燃料として利用する動きが世界的に急速に広まっている。ライバルの(筈である)水素はどこかへ見えなくなった感さえある。ただ「水素社会」と違って「アルコール社会」の呼称では、どうしても飲酒のイメージが絡み、面白おかしさ、或いは不謹慎さが滲むという不利はある。もっとも、食糧との競合で、穀物はいうに及ばずマヨネーズ、牛肉、ビールまでが値上がりするなど、早くも深刻な面も露出しており、この動きが順調に広がっていくかについては諸議論があるところである。

 アルコールは炭化水素基とヒドロキシル基OHが結合した化合物で、化学式で示すと、例えばCnH2n+1OHのようなもの(他の形の示性式で示されるものもある)であり、この場合炭素数nが一個の時が最も単純なアルコールであるメタノール、二個の時が次に単純なエタノールである。メタノールは、昔は木材の乾留でつくられていたので「木精」、エタノールは古来より酒として利用されてきたので「酒精」とも呼ばれ、これらの和名は多くの企業名、商品名などに利用されている。一般にはメタノールはアルコールランプの燃料用などとして、またエタノールは、細菌のタンパク質を変性させる殺菌作用を利用した消毒用としてなじみが深い。

 アルコールには、エタノールだけ、或いはそれとメタノールの二種類しかないと思っている人がいるかも知れない。「アルコールハンドブック」という表題で、内容はエタノールだけの書籍もあったりするから一般には無理もないことだろうか。日本の法律「アルコール事業法」のアルコールもエタノールのみが対象である。勿論炭素数が3個以上のアルコールも存在するのであるが、ここでは液体燃料として重要なこの2つに限ってその製法と輸送用燃料としての利用を中心に概説する。

飲むアルコール・飲めないアルコール 

 メタノールとエタノールの用途、製造法、体内での挙動などを表6・2に示した。この二つのアルコールは分子式に示されるように炭化水素基をもつ有機物であり、従って石油やガソリンと混合でき、また同時に水酸基(-OH)を含むため水との親和性ももつ。

 酒やビールのアルコール分は周知のとおりエタノールである。エタノールは胃や小腸で吸収されて血液中に入り、肝臓に運ばれ、ここでADH酵素(アルコール脱水素酵素)によってアセトアルデヒドに転換される。悪酔いの原因はこのアセトアルデヒドであるが、これはさらにALDH(アルデヒド脱水素酵素)により、無害な酢酸に転換解され、最終的には二酸化炭素と水に分解される。

 つまり、エタノールは体内で順次酸化されて、アルデヒド、有機酸(酢酸)となり最終的に二酸化炭素と水に変化する。 我々モンゴロイドは、長い冬を発酵食品で凌いできた白人や、暑さですぐに発酵する果物に順応してきた黒人とは異なり、ALDHのうちアセトアルデヒドが低濃度の時に働くALDH2の活性を、ある時点で突然変異的に失くしてしまったため、遺伝的に少量のアルコールでも悪酔いしてしまう酒に弱いタイプが多い。通常、このような場合、活性を断念しても支障がない状況であれば、遺伝子の負担が軽くなる分優利になって、酒に弱いタイプが強い原種を陵駕していく可能性が高いのだろうが、人間社会では古来、酒に強いというのも生存上有利な要因も強くあった為か、今も毎日ビールを飲まないと夕食の喉の通りが悪い人は多く残っている。

 飲み物のアルコールにまつわる話はとても尽きるものではないが、残念ながら、今は燃料としての話に限定せざるを得ない。つまり上記の体内での反応を、酵素の働きではなく、空気を用いて高温で生起させることによって熱エネルギー、そして有効な仕事を得る場合である。「お父さんの燃料」などと比喩的に呼ばれたエタノールが、本当に自動車を動かす燃料として、世界的に考えられる時代になったのである。

 一方、炭素数が一つの最も単純でアルコールらしいアルコールであるメタノールの場合は飲用には出来ないが、酸化される過程はエチルアルコールの場合と全く同様である。そしてこれは、基本的には熱エネルギー取得のための燃焼反応の経過と同じである。

 第一段階の酸化で生じるホルムアルデヒド(HCHO)は、周知のようにシックハウス症候群の原因物質でもあり、通常の大気中の環境濃度は0.08ppmである。標本などの保存薬としてなじみ深いホルマリンはホルムアルデヒドの35%水溶液である。また燃焼分野で暗所でやっと見える程度の弱い光(冷炎)を発する、興味深い現象があり、この主役もHCHOであるが、自動車などでメタノールが不完全燃焼すると、このホルムアルデヒドが排出されて問題となる。もっともこれは実際には酸化触媒で容易に除去が可能ではある。体内ではホルムアルデヒドも有害であるが、次の酸化体であるギ酸は、エタノールの場合の酢酸(酢の成分)と違って毒性をもち、特にヒトなどの霊長類はギ酸の代謝能が低く、毒性が強く現れるため、結局メタノールは飲用には不適なのである。

メタノールの製造方法とその利用  

 メタノールの原料としては、現在工業的には、殆どが天然ガスが用いられており、残りは石炭とナフサである。メタンが主成分の天然ガスを触媒の存在下で水蒸気または酸素と反応させて、一酸化炭素(CO)と水素(H2)を主成分とするガス(合成ガス)とし、これをまた違った触媒を用い、高圧で反応させてつくる。草や木のようなバイオマスを原料にする場合にも、ガス化したあとは基本的には天然ガスと同様の工程で合成するが、現在商用機はなく、パイロット規模での開発実証段階である。

 最近では燃料電池が有名になりすぎて、「燃料電池に使われる物質」と紹介されることもあるが、勿論メタノールは燃料として使用できると同時に、「C1化学」の雄とも呼ばれるように、数多くの重要な化学物質の原料にもなる。「C1化学」とは、石油以外の天然ガスや石炭、バイオマス、或いは超重質油などの炭素資源を原料として、合成ガスやメタンとし、それをもとに現在の石油化学と同様の様々な化学製品を製造する有機・燃料化学の一体系であって、石油代替の意味から、また再生可能エネルギーの利用の観点からも極めて重要な分野である。工業的に利用される化学物質には様々な製造法があり、また利用法にもそれぞれの体系があるが、炭素数が一つのアルコールであるメタノールは、多くの化学物質が錯綜するそれらの交差路に位置して、極めて重要であるとともに、いろいろな意味で微妙な存在でもある。
 エネルギー・環境の分野の話題に限っても、自動車のオクタン価改善用のMTBE(メチルターシャリブチルエーテル)、合成ガソリン、あるいはプロパンガスの代替として期待されるDME(ジメチルエーテル)などがメタノールから誘導される。例えば、MTBE はメタノールとイソブチレンを原料にして製造する。MTBEは、含酸素オクタン価向上剤として、それまでの4エチル鉛に代わって全世界で大量にガソリンに添加されて使用されていたが、漏れたガソリン中のMTBEが、地下水の汚染を引き起こすことが指摘され米国では使用が禁止されたことは記憶に新しい。

 水素も、メタノールの改質によって得ることができる。250〜300℃で触媒を用いれば比較的容易である。勿論エタノールからもつくることは可能だが500〜700℃の高温を要する。もともとメタノールは化学平衡から有利な高圧にして水素と一酸化炭素から合成されたものであるから、同じ触媒を使い逆に低圧にして分解することも出来るのである。せっかく圧縮機で動力を消費して高圧で合成したメタノールを、もとの水素と一酸化炭素に戻す、水素が目的の場合は更に一酸化炭素も水素に転換する、何やら、不利益が出そうであるが、その通りであって、出来れば合成前の水素と一酸化炭素の形で利用するのがエネルギー的には最も効果が高い。ただ、合成ガスや水素ガスは輸送に不便だから、液体のメタノールにして輸送・貯蔵するということは当然ある。

 このメタノールの改質の場合もそうであるが、水素に一酸化炭素、水蒸気、二酸化炭素が共存する反応系は、化学工業・燃料工業では頻繁にでてくる。この系では、高温では一酸化炭素が安定、低温では水素が安定であるから、触媒を使って、反応温度を選べば水素、一酸化炭素のどちらにも変化させ得る。一酸化炭素は悪役、水素は善玉と思われがちである。確かに水素は無害で、片や一酸化炭素は自動車などを使った集団自殺で多用されたり、好ましい響きは全くないが、エネルギー的には、発熱量にはさほどの違いはない。燃えると一酸化炭素は地球温暖化の原因物質CO2となり、水素からは無害な水しかできない、というのは例えばメタノールを利用することを考えれば、いずれにしても何処かでCO2とH2Oを排出せざるを得ないから無意味な命題である。繰り返しになるが、このメタノールが、石炭或いは天然ガスからのものか、太陽光、風力或いはバイオマスなどの再生可能エネルギーから、或いは原子力エネルギーからつくったものなのかが主要な問題なのである。

 さて、現在日本の総エネルギーのうち、天然ガスは約25%を占める。これはマイナス160℃以下の低温で液化されてLNG(液化天然ガス)の形でブルネイや豪州から専用の船で運搬されてくる。LNGの導入開始は1969年であるが、その後のLNG船の船価高騰や、安全性の議論もあり、一時期これをLNGではなく現地でメタノールに転換して通常の石油タンカーで運ぶ代替案が検討された。結局、1973年の石油ショックでのメタノールプラントのコスト上昇と、LNGの順調な実績からこれは採用されるに至らなかった。最近では、液化プラントが設置し難い中小のガス田の天然ガスを、洋上でメタノールに転換して輸送する方法が検討されている。今、低公害車としてのメタノール自動車は劣勢であるが、石油危機も起こらず、また完全にLNGがメタノールに代替されずとも双方の供給が並行されていたら、インフラも整い、メタノールに対する評価も変わっていたに違いない。しかし、勿論他の事象と全く同様にエネルギーについてもその歴史は一回性である。

 これからも判るように、大掛かりに利用する場合、燃料としてのメタノールの適性は極めて高いのである。

エタノールの製造方法とその利用 

 一方、エタノールは工業用には、現在石油化学工業の基本素材であるエチレンの触媒を用いた水和反応でつくられている。メタノールの場合と同様に、天然ガス、石炭、バイオマスなどを原料とした合成ガスからの化学合成も可能であり、研究もなされている。ただし将来、石油の供給が逼迫し、石炭から大量に自動車用の液体燃料を、という要請があった場合、まず対象となるのはメタノールであろう。このエチレンからつくられているエタノールは世界で5%程度にすぎず、残りは、サトウキビ、テンサイなどの糖質、とうもろこし、小麦などのでんぷんを原料とした発酵によっており、現在、でんぷんと糖質との比は六、四である。つまり、ビールや酒を造るのと同様の、酵母菌を用いた西暦前からの由緒ある古典的な手法である。メタノール合成には触媒が不可欠であったが、この発酵も、酵母という微生物がもっている、酵素の生体触媒作用を利用した反応である。用途先としては燃料が七割でその殆どは自動車用であり、二割が飲料、残りは工業用である。ブラジルではサトウキビを原料に、自動車用として年間1500万キロリットルが生産されており、これは世界の生産量の三割強を占めている。ついで多いのは米国で、こちらは殆どがトウモロコシを原料としている。

 以上のように、現在大規模には、メタノールは合成ガス(COと水素)からの化学合成、エタノールはグルコースから生物化学的発酵によって作られている。それでは、なぜ、合成ガスからのエタノール、また生物化学的手法でのメタノール作成は難しいのだろうか。当然、それなりの理由がある。まず、合成ガスから化学反応でエタノール合成するには、C-O結合をそのままに維持することに加えて、メタノール合成の場合とは異なり、C―C結合をつくるため、C-O結合の解離反応を同時に起こさねばならない。不可能ではないが、高度な触媒(Rhなど)が必要になる。発酵では、グルコースを基質とする解糖系(ピルビン酸+2ATP+4Hまで)に必要なエネルギーを、メタノールでは供給できない。従って、そのような働きをもつ菌は進化してこなかったし、見出すこともなかなか難しいのである。

 さて、メタノールの場合、天然ガス原料の製造プラントは天然ガスの産出する中東などに多く、日産2500トン級と巨大であるが、バイオマス原料の製造プラントは現在殆ど皆無といっていい。一方、バイオマス原料のエタノールの場合、日本では少なくとも酒蔵やビール工場の数だけ実証プラントが存在することになるが、勿論、燃料用と飲料用とでは、目標コストもプラントも異なる。一番の差は、燃料用では微妙な味は問われない代わりに、水分を除いて濃度を100%近くまで濃縮する必要があり、このために多大なエネルギーを要することである。バイオマス起源のエタノールが大量かつ廉価にできるようになったからといって、日本酒やウィスキーが安く飲めるわけでは無論ない。

 メタノールの場合のMTBEと同じように、エタノールと石油起源のイソブチレンを原料にしてETBE(エチルターシャリブチルエーテル)が得られる。これは、エタノールと異なり、水分が混入してもガソリンと分離しないため、ガソリンとの混合で使用する場合、現状のガソリンの流通システムをそのまま利用できる利点がある。最近、自動車用のガソリンと混合するのにETBEの形にすべきか、あるいはエタノールのままの方が有利かで争いがあることは周知の通りである。

 エネルギー収支、つまりアルコールのもつエネルギーとそれをつくるために必要なエネルギーの比が当然気になるところであるが、エタノールの場合、原料に大きく依存する。サトウキビでは、エネルギー的にはかなりのプラスだが、でんぷんの糖化過程が必要なとうもろこしを原料とする場合、製品としてできるエタノールのエネルギーは、とうもろこしの育成・収穫・収集、発酵・濃縮など製品化のために投入するエネルギーと、それほど変わらず利得は少ないようである。もっとも、この必要なエネルギーを石油などの化石燃料に求めず、原料の残部や太陽光発電で補えば全体として意味がないことはない。一方、メタノールの場合は、雑草や木質材料が原料にでき、かつ工業的な手法で製造できるからかなりプラスであろう。


輸送用燃料としてのアルコール  

 自動車用燃料としてのアルコールの歴史は古くて新しい。90年を遡れば世界初の量産車であるT型フォードは、当初エタノールを燃料として計画されていたし、ブラジルのエタノール自動車も1900年代初頭から歴史を重ねている。また米国で始まったインディ・カー・レースは、ヨーロッパのF1レースより歴史も古く、スピードはF1を越える平均時速300キロであるが、この燃料は、1964年以降はガソリンではなく、クラッシュ時の爆発性が低いアルコールである。これまで天然ガスから製造されたメタノールが使用されていたが、2007年からは、現時点である程度の量産が可能な再生可能エネルギーである穀物からのバイオエタノールとなる予定である。このように、価格と供給量の課題さえクリアされれば、車の細部の諸改造は必要だろうが、アルコールは自動車用燃料として何の不足もない。

 加えて燃焼排ガス性状も良好である。即ち、アルコールは分子中に酸素を含むため、炭素原子の連なりである煤塵(すす)の生成が抑制され、また重金属、SOXは殆どゼロである。勿論、課題はある。アルコールは自動車エンジンの燃料とした場合、重量当りの発熱量が小さく、メタノールではガソリンの場合の二倍のタンク容量を要する。メタノール車は、メタノールの蒸気圧が低く低温始動性に課題がある他、噴射バルブなどの部品の腐食性などが課題となって思うように普及は進んでいない。水酸基が水と親和性をもつということは、水と同様に金属を腐食させるということで、発熱量当たりの水酸基量が少ないエタノールはメタノールより軽微ではあるが、同様の問題はある。しかし、これらは本質的な問題ではないし、事実、現在、ブラジル、米国、EUでガソリン、エタノール、メタノールのどの様な混合燃料でも走ることができる数十万台のFFV(Flexible Fuel Vehicle)が普及している。

 そして現時点で何より重要なことは、バイオマスからのアルコールは、低公害燃料、石油代替、再生可能エネルギーという三つの面をもつことである。例えば、天然ガスを原料にしたメタノール燃料自動車は、低公害であり、石油代替性もあるが、再生可能ではない。従来、ブラジルなどを例外として、主に天然ガスを原料としたメタノールについて、その低公害車としての評価がなされてきたが、排ガスのクリーンさより、石油代替性、さらには二酸化炭素対策、化石燃料枯渇対策の観点に重点が移った現在では、これらの再生可能燃料としての評価が重みをもってくる。

 自動車などの輸送機関については原動機や他の燃料も含め次講でまとめよう。

表6.2 メタノールとエタノール

メタノール

エタノール

別名(和名)
化学式

メチルアルコール(木精)
CH3OH

エチルアルコール(酒精)
C2H5OH

生産量(世界)

約4000万トン/年

約5000万トン/年

現在の主な用途

化学原料(ホルマリン、MTBEなどの原料)

燃料(70%)、飲料(20%)残りは工業用

製造方法

天然ガス、ナフサの改質で得られた合成ガスからの化学合成(現在は90%以上が天然ガス原料)。石油、重質油、バイオマスからも製造可能

殆どは、とうもろこし ・サトウキビなどの糖分・デンプンの微生物発酵、工業的にはエチレンからの化学合成(全体の5%)

生体内での酸化過程(中間生成物は工業的な誘導体製品でもある)

CH3OH→HCHO(ホルムアルデヒド)
→HCOOH(ギ酸:人体に有害)→CO2,H2O

C2H5OH→CH3CHO(アセトアルデヒド)
→CH3COOH(酢酸)→CO2,H2O

1919年型フォード

世界初の量産自動車であるT型フォードは当初、燃料としてトウモロコシを原料としたエタノールを使う仕様で計画されていた。  写真は工業調査会「図解バイオエタノール最前線」から

インデカーレース

1965年以降、ガソリンよりクラッシュの衝撃が小さくまた水での消火が可能なメタノールが使用されていたが、環境への配慮から2006年にメタノール/エタノールの混合となり、2007年よりはエタノールとなった。現状ではバイオマスからのメタノール量産設備がないからということであろう。