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熱工学研究室

教授 藤川 卓爾

 当研究室は従来 ディーゼル機関の燃焼の研究を実施していたので,「熱工学研究室」と称している。
 現在は,ディーゼル機関以外に風車の研究も実施している。ディーゼル機関の燃焼の研究もバイオマス燃料を使用する研究を実施しているので,「自然エネルギー動力研究室」と称した方が良いかも知れない。
 さらに,最近は不倒コマ(いつまでも回り続けるコマ)の研究も開始した。
 これらを総合すると「回転機械研究室」が適当である。

■ ディーゼル機関における燃料多様化の研究

・研究背景および目的
 ディーゼル機関において,現在の化石燃料だけでなくバイオマスのガス化により生成されるメタノール等の再生可能な燃料の利用を検討する。

・バイオマス メタノール利用の課題
 メタノールは蒸発潜熱が大きいため着火遅れが長く,ディーゼル機関用燃料として使用する場合,燃料供給系などの改造が必要とされる。

・研究概要
 既製のディーゼル機関の燃料供給系の改造を行わず,メタノールを燃料として利用するために,軽油とメタノールを混合した混合燃料を使用する。混合燃料を使用したディーゼル機関の性能を明らかにし,メタノール燃焼の可能性を模索する。
 また,現在利用が拡大しているバイオディーゼル燃料(BDF)を用いる場合の運転特性を研究する。

ディーゼル機関
ディーゼル機関
ディーゼル機関断面図
ディーゼル機関断面図

■ 直線翼垂直軸型風車翼の揚力と抗力の研究

・研究背景および目的
 風力発電の普及には大型風車だけではなく,小型風車の普及が不可欠である。風向の変化が多く,乱れが大きいという日本の特殊な風況に適合した小型風車の条件を見出すために,揚力型の小型直線翼垂直軸型風車の特性試験を実施する。

・揚力型垂直軸型風車の課題
 高風速において効率が高くなる揚力型風車は,低風速における起動特性が悪い。起動特性改善のためには風車の回転部分の重量を低減する必要があるが,過度の重量低減は信頼性を損ねる。

・研究概要
 校舎屋上に設置した1.5kW直線翼垂直軸型風車の運転データを解析し,実機の運転特性を明らかにして改善点を見出す。
モデル翼の風洞試験によって,揚力型垂直軸型風車に使用する翼に発生する揚力と抗力を明らかにする。

1.5kW直線翼垂直軸型風車
1.5kW直線翼垂直軸型風車
1/10スケール モデル風車
1/10スケール モデル風車

■ 不倒コマの減速メカニズムの研究

・研究背景および目的
 過去に本学で実施した不倒コマの回転持続時間がギネス・ブックに掲載された(1994年,大気中,38分59秒)。真空中では回転持続時間が大気中の3倍以上にのびる。
不倒コマの減速メカニズムを研究して,さらなる記録更新を目指す。

・回転持続時間増大のための課題
 コマの減速には,空気の存在による抵抗と,心棒支持点の摩擦による抵抗が関係する。空気抵抗を低減するためには真空度を高めるのが効果的であるが,実際に到達できる真空度には限界がある。心棒支持点の摩擦は心棒の形状,心棒と座板の材料によって変わるが,摩擦の低減には限界がある。

・研究概要
 コマの回転数変化を精密に計測して,減速メカニズムを明らかにする。
コマの形状や質量配分を工夫することによって,同一の空気圧条件下での抵抗低減をはかる。
不倒コマ
不倒コマ
<その他>

バイオディーゼル燃料(BDF)バス「クリーンNiAS号」
本学では2006年11月からバイオディーゼル燃料(BDF)で運転するバスを導入した。これは,使用済みのてんぷら油から製造した燃料を使用するものである。2007年6月からは,シャトルバスとして大学と長崎市内中心部を1日2往復している。
当研究室では,このBDFバス「クリーンNiAS号」の運転データの管理を実施している。

バイオディーゼルバス「クリーンNiAS号」
バイオディーゼルバス「クリーンNiAS号」
バイオディーゼル燃料(BDF)
バイオディーゼル燃料(BDF)

人力発電
究極の省資源は人力の活用である。
当研究室では,ボランティア活動として,地元テレビ局に協力して,自転車の発電機で発電し,玩具のミシンを動かして雑巾を縫う「自転車ぞうきん」キャンペーンに参加した。

自転車ぞうきん
自転車ぞうきん(人力発電)
研究室紹介
author : 熱工学研究室 | - | -