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流体工学研究室

教 授 山口 裕
准教授 仲尾 晋一郎
准教授 谷野 忠和
助手  宮國 健司



■ 風車の高出力利用および実証試験

−クロスフロー型風車の高出力利用−
 クロスフロー型風車を利用した風力発電に関する研究を行っています.

 クロスフロー型風車を横向きに利用することで,建築物などの屋上など構造物上での設置が可能となり,従来の風車では難しい都市型の小型風力発電用風車の利用が可能となります.また,建物近傍で生じる流れを有効に利用することで,クロスフロー型風車からより高い出力を得られることが期待されます.
 さらに,その他にも,地下鉄への入口からホームまでの通路や,大型車の運転席上部,貨物船のデッキ等で利用することで,クロスフロー型風車を高い出力で利用できるのではないかと考えています.

研究の詳細(*)はこちら
*現在は,さらに誘導板・偏流板等を導入することで,より高い出力が得られる条件等の研究を行っています.

風車イメージ
風車設置イメージ


実験の様子
供試風車
風洞試験装置および供試風車

風車取付高さの検討
風車取付高さの検討

 さらに,構造物近傍の流れを再現するようなケーシング(二偏流板ケーシング)を考案し,クロスフロー風車の出力改善効果(高出力化)を実験的に研究しています。
 これまでの小型模型風車を用いた風洞実験の結果から,最大出力が約40〜50%高くなることが確かめられています。
CRFW_with_DFD
二偏流板ケーシング付風車概略図

−クロスフロー風車の流れ場解析(2006〜)−
 煙風洞試験装置を用いた可視化実験を行っています.クロスフロー風車の可視化実験を行うために,新たに実験用風車を製作し,今までの研究で把握した性能曲線上の各作動点における可視化実験を実施し,風車性能と流れ場との関係を調べています.使用しているカメラは普通のデジタル一眼レフカメラですが,複数のストロボライトを併用し,数千分の1秒という非常に短いシャッタースピードでの撮影により瞬間的な流れ場を捉えることもできます.

平均流れ
平均的な流れ(シャッタースピード1秒)
瞬間的な流れ
瞬間的な流れ(シャッタースピード1/4000秒)

上の2つの写真は,同じ回転する風車の撮影結果ですが,シャッタースピードが1/4000秒では,翼も静止しているように見えます.

 また,オープンソースの数値解析ソフト(OpenFOAM)を用いた垂直軸風車の数値解析を行っています.現在,クロスフロー風車および揚力型垂直軸風車の解析を行い,流れ場と性能の関係などを研究しています。
CRFW_CFD01
クロスフロー風車の流れ(500rpm)
CRFWDFD_CFD01
二偏流板ケーシング付クロスフロー風車の流れ(500rpm)

■ 鳥人間グライダーの製作

−グライダーの設計・製作ー
 グライダー製作では,鳥人間コンテスト出場を目指し,NiAS Gシリーズのグライダーの設計・製作を行っています.

 性能評価と向上のために,翼などの各要素の風洞試験を実施し,得られた結果をもとに最適な翼やキャノピー(風防)を選定し,新しい期待の設計・製作に取り組んでいます.

 グライダーの要素である主翼,尾翼,コックピットについて,それぞれ風洞実験により,揚力,抗力を測定し,グライダーの空力性能に関わる揚力係数,抗力係数,揚抗比を求め,各部の性能を比較検討し,最適な要素を選定しています.

 2005年度には,前年度に設計されたグライダー“NiAS G-12”が書類選考に合格し,その年の7月16日,17日に琵琶湖にて開催された鳥人間コンテストに出場しました.
これは,2003年度に出場した“G-10”以来,3度目!

 G-12の制作活動などを紹介したページはこちら
 G-10の出場時のページはこちら

飛行試験
グライダー飛行試験

製作図面
グライダー製作図面

翼型
グライダー翼型
−揚力型垂直軸風車に関する研究−(2008〜)
 ダリウス風車など,揚力型の垂直軸風車は,クロスフロー風車のような抗力型風車よりも,高回転・高出力であるが,その反面,起動特性が劣る.また,同タイプの風車を大規模な実験施設を使わず実験室レベルで,性能評価を行う場合,その小ささのため,十分な評価が難しい.そこで,実験室用の小型風車の大きさと性能の関係を明らかにし,実験室レベルの揚力型垂直軸風車の性能評価の可能性を検討する,
 また,揚力型垂直軸風車に関する,一次元理論と翼素に関する二次元理論を用いた性能解析について,従来の方法の問題点について,より実用的な性能解析が可能な,修正方法を検討する.

−プロペラ型風車の実証試験−
 長崎総合科学大学では,学術フロンティアセンターにおいて,高収率バイオマスガス化技術に関する研究が行われています.その中で,バイオマスガスを生成する際に水素冨化の雰囲気でガス化を行うと高い収率でバイオマスガスが得られます.この研究に関連して,風力で得られた電気を使って水素を生成する目的で,小型プロペラ型風車の実証試験を行っています.現時点では,風車を設置した環境の風況調査および風車発生電力の計測等を行っています(水素生成は行っていません).

 3機のプロペラ型風車(定格400W)の風車がシーサイドキャンパス内の学術フロンティアセンター屋上に設置されています.シーサイドキャンパスは,東側は橘湾に面し,西側は日見峠の山間から広がる扇状地となっています.

 風車の直ぐ傍に設置している風向・風速計のデータを調査したところシーサイドキャンパス周辺では,橘湾からの東風と日見峠方向からの西風が多いことが分かります.また,風速については,実際のところ,あまり強い風が吹かないことが分かっています.

組立作業
風車組立作業

フロンティアセンター風車
学術フロンティアセンター屋上風車

風向頻度
シーサイドキャンパス周辺風向頻度

■ その他

−数値解析環境の整備ー
 CAELinux2009 覚え書き

クロスフロー風車の解析例(2次元)
[非定常・非圧縮乱流,標準型k-ε,非構造格子]
解析例0rpm
流速分布および流線 静止状態 (0rpm)
解析例500rpm
流速分布および流線 回転状態 (500rpm)

 ようやくオープンソースの解析環境を使った数値解析ができる環境が整いつつあります.
 上の解析結果は,クロスフロー風車の流れを普通のパソコンを使って解析したものです.また,格子は粗く,2次元です.実験結果と比べると細かい部分に違いはありますが,旋回時の風車内の渦など,大きな特徴は捉えられています.


■ 共同研究など

−学生による学会講演−
・ターボ機械協会 第66回 宮崎地方講演会('11.09,宮崎),
 発表:田口啓太(修士1年),「二偏流板ケーシング付クロスフロー風車のケーシング傾き角と性能の関係」
・ターボ機械協会 第66回 宮崎地方講演会('11.09,宮崎),
 発表:梶原聖也(修士1年),「一次元理論の補正による揚力型垂直軸風車の性能評価」
・日本機械学会 長崎講演会('09.10,長崎),
 発表:有田直樹(修士2年),「クロスフロー風車の高出力化のための二偏流板ケーシングの開発」
・日本機械学会 第85期流体工学部門講演会('07.11,東広島),
 発表:川叡匯(修士2年),「構造物端壁部に設置したクロスフロー風車の翼枚数と偏流板設定角度が出力特性に及ぼす影響」
・日本機械学会 第85期流体工学部門講演会('07.11,東広島),
 発表:宮國健司(修士2年),「クロスフロー風車の可視化実験による流れ場と出力特性に関する翼枚数による比較」
・日本機械学会2006年度年次大会('06.9,熊本),
 発表:小宮康徳(修士2年),「構造物端壁部に設置したクロスフロー風車の入口流れモデルによる偏流板効果の検証」
・日本機械学会2006年度年次大会('06.9,熊本),
 発表:川叡匯(修士1年),「クロスフロー型風車における翼枚数および翼取付角が出力特性に及ぼす影響」

−共同研究・研究会−

共同研究:
NEDO・産業技術研究助成事業(2002〜2004)
「水平軸型ウィンドタービン用弾性ブレードに関する研究」
学術フロンティア推進事業(2003〜2007)
「環境エネルギーの創成と高度利用技術に関する研究」
ソニー株式会社(2008〜2009)
「小型クロスフローファンに関する研究」
ファン可視化
クロスフローファンの可視化

研究会:
九州大学:風レンズ研究会

−関連研究発表(講演会・論文など)−

・第82期 日本機械学会流体工学部門講演会('04.11,福岡)
「構造物端壁近傍に設置したクロスフロー型風車周りの風環境の最適化」
・第26回 風力エネルギー利用シンポジウム('04.11,東京)
「構造物端壁近傍流れの改善によるクロスフロー型風車の有効利用」
・第26回 風力エネルギー利用シンポジウム('04.11,東京)
「弾性変形を利用した水平軸型ウインドタービン用ブレードの開発」
・Proceedings of the 7th ISAIF('05.9,東京)
「Improving Ambient Wind Environments of a Cross-Flow Wind Turbine near a Structure by using an Inlet Guide Structure and a Flow Deflector」
・第27回 風力エネルギー利用シンポジウム('05.11,東京)
「構造物端壁近傍流れの改善によるクロスフロー型風車の有効利用(2)」
・日本機械学会 2006年度年次大会('06.9,熊本)
「構造物端壁部に設置したクロスフロー風車の入口流れモデルによる偏流板効果の検証」
・日本機械学会 2006年度年次大会('06.9,熊本)
「クロスフロー型風車における翼枚数および翼取付角が出力特性に及ぼす影響」
・第28回 風力エネルギー利用シンポジウム('06.11,東京)
「翼枚数の異なるクロスフロー型風車の有効な受風面積」
「直線翼垂直軸型風車の起動特性について」
・日本機械学会論文集B編,第73巻,第725号,2007年
「クロスフロー型風車の翼枚数および翼取付角が出力特性に及ぼす影響」
・日本機械学会論文集B編,第73巻,第726号,2007年
「構造物端壁剥離流れの有効利用および入口流れ改善によるクロスフロー型風車の出力特性の向上」
・ターボ機械協会 第57回総会講演会('07.5,東京)
「可視化実験によるクロスフロー風車の流れ場と性能に関する研究」
・日本機械学会 2007年度年次大会('07.9,大阪)
「クロスフロー型風車周辺および内部流れの可視化と流れ場と出力性能の関係」
・日本機械学会 第85期流体工学部門講演会('07.11,広島)
「構造物端壁部に設置したクロスフロー風車の翼枚数と偏流板設定角度が出力特性に及ぼす影響」
「クロスフロー風車の可視化実験による流れ場と出力特性に関する翼枚数による比較」
・第29回 風力エネルギー利用シンポジウム('07.11,東京)
「クロスフロー型風車の流れ場の可視化と出力特性の関係」
「直線翼垂直軸型風車の運転実績について」
・ターボ機械協会,第59回総会講演会('08.5,東京)
「偏流板による設置環境の異なるクロスフロー風車の性能改善」
・日本機械学会 2008年度年次大会('08.9,横浜)
「対称配置した偏流板の設置条件がクロスフロー風車の性能改善効果に及ぼす影響」
・ターボ機械協会,第61回総会講演会('09.5,東京)
「垂直軸揚力型風車の実験室規模の性能評価とRe数の影響」
・ターボ機械, 第38巻, 第6号, 2010年
「垂直軸揚力型風車のスケールモデルによる性能評価とRe数の影響」
・International Journal of Fluid Machinery and Systems, Vol.4, No.2, 2011年
「Influence of Reynolds Number and Scale on Performance Evaluation of Lift-type Vertical Axis Wind Turbine by Scale-model Wind Tunnel Tests」
・ターボ機械, 第39巻, 第12号, 2011年
「二偏流板ケーシング付クロスフロー風車の出力性能と流れ場の評価」
研究室紹介
author : mechstaff | - | -